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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第16章 白日の下
荒祭宮(あらまつりのみや)。
その怒れる魂に別の名を与えられるその女神は、自らと同じ怒りを抱えた数多の女達を煽り、命じる。
そしてその手足となるべく、大兄を始めとする何十人もの禊が、神依と神依自身の禊……たった二人を取り囲んだ。
【3】
私があの人に焦がれるようになったのは、あの夏の日からだった。
──美しい人。
あの人は他の巫女達を遠ざけ、私の乱れた衣を寄せてくれた。無愛想な言葉ではあったけれど、労ってくれた。私はきっと何も応えられなかったと思う。
そこへ酷く慌てたように、夏場だというのに顔を真っ白にした禊がようやく駆け付けた。
私を陥れた巫女と禊を伴って、けれどももう私の瞳には、去っていくあの人しか映ってはいなかった。
──あの人の過去は知っていた。けれどそんなこと、恋をした私には些末なこと。
ただあの人は運が悪かっただけ。その女神だって、ただ見た目が美しいというそれだけであの人に取り入って、生まれた子が本当にあの人の子か今でさえ分からない。父親がどこの何の神か分からぬ子など、あの方が抱くべきではない。良かったのだ。
だから私は気にしなかった。
だって、それさえ受け入れられないなら、本当の愛じゃない。心からの、愛じゃない。
その怒れる魂に別の名を与えられるその女神は、自らと同じ怒りを抱えた数多の女達を煽り、命じる。
そしてその手足となるべく、大兄を始めとする何十人もの禊が、神依と神依自身の禊……たった二人を取り囲んだ。
【3】
私があの人に焦がれるようになったのは、あの夏の日からだった。
──美しい人。
あの人は他の巫女達を遠ざけ、私の乱れた衣を寄せてくれた。無愛想な言葉ではあったけれど、労ってくれた。私はきっと何も応えられなかったと思う。
そこへ酷く慌てたように、夏場だというのに顔を真っ白にした禊がようやく駆け付けた。
私を陥れた巫女と禊を伴って、けれどももう私の瞳には、去っていくあの人しか映ってはいなかった。
──あの人の過去は知っていた。けれどそんなこと、恋をした私には些末なこと。
ただあの人は運が悪かっただけ。その女神だって、ただ見た目が美しいというそれだけであの人に取り入って、生まれた子が本当にあの人の子か今でさえ分からない。父親がどこの何の神か分からぬ子など、あの方が抱くべきではない。良かったのだ。
だから私は気にしなかった。
だって、それさえ受け入れられないなら、本当の愛じゃない。心からの、愛じゃない。

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