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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第16章 白日の下
わずかに頭を横に向ければ、真黒い瞳が瞬きもせず自分を見ていた。そこで初めて、神依の背筋に寒気が走る。
「あ──あの……」
「……弟に妻が居らぬなど、笑わせてくれる。あれはわらわと横並ぶことを許された唯一の者ぞ……昼と夜とに分かたれながら、互いに互いの美しさを知り、最も穢してはならぬものとしてその愛で方をわきまえ、頂の孤独を二人密かに舐め合うもの──わらわ達は肉体を超えて共にあり、二柱であったからこそ、陰陽のしるしの如く完全なる円をなすものだった。……でなければ、この国はどうやって生まれたのじゃ。わが父母は夫婦であり……また兄妹であった」
「あ……っ、あなた達、まさか」
「……よくもわらわのものを盗ってくれたな……」
天照の可愛らしい顔が、途端に憎しみに歪む。
耳すら噛み千切られそうな牙めいた気配に、神依は慌てて彼女から離れ違うと細く呟くが、もはやその訴えが神の耳に届くことは無かった。
「待って……待って下さい、私……!!」
「この……泥棒猫。鼠ともども焼かれて去ね」
「違う……私は……!!」
「──やれ」
激昂するこの女神を止められる者などこの世界には居ない。
「あ──あの……」
「……弟に妻が居らぬなど、笑わせてくれる。あれはわらわと横並ぶことを許された唯一の者ぞ……昼と夜とに分かたれながら、互いに互いの美しさを知り、最も穢してはならぬものとしてその愛で方をわきまえ、頂の孤独を二人密かに舐め合うもの──わらわ達は肉体を超えて共にあり、二柱であったからこそ、陰陽のしるしの如く完全なる円をなすものだった。……でなければ、この国はどうやって生まれたのじゃ。わが父母は夫婦であり……また兄妹であった」
「あ……っ、あなた達、まさか」
「……よくもわらわのものを盗ってくれたな……」
天照の可愛らしい顔が、途端に憎しみに歪む。
耳すら噛み千切られそうな牙めいた気配に、神依は慌てて彼女から離れ違うと細く呟くが、もはやその訴えが神の耳に届くことは無かった。
「待って……待って下さい、私……!!」
「この……泥棒猫。鼠ともども焼かれて去ね」
「違う……私は……!!」
「──やれ」
激昂するこの女神を止められる者などこの世界には居ない。

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