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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第16章 白日の下
──“共に生まれた姉上でさえ、父を慕い死の穢れを嫌って常若(とこわか)の生を望み、私を心から理解しては下さらない”
(あ──)
それは見事にこの童女を──天照という女神を表し、嘆く言葉であった。
神依は彼女がなぜその姿で在るのか理解して、またこの世界に来て初めて聞いたその名に、あの原初の男神……そして、女神を想う。
「あ……あなたが、天照様というなら……あなたの、お母様は」
「母など知らぬ。我が父神は偉大なる天つ大神ぞ。神を生むにその御身の手振り、御声一つで充分じゃ」
「……」
天照は一瞬不機嫌そうな顔をして、しかしすぐに自慢気にそう語る。それは、そう言われてしまえばそうかもしれないが、神依にはとても悲しい言葉だった。命と性とを拒む言葉。それどころか、彼女は全身でもってそれを表現している。
形容し難い表情で黙ってしまった神依に、しかし天照は気にした風もなく、あざといくらい可愛い仕草で彼女を招き寄せしゃがむように言った。
「……」
神依は大人しくそれに従い、禊にはそれを見守るしかできない。ゆっくりと立ち上がり、気持ち裳裾の土を払って天照と背丈を合わせるよう膝を折れば、天照はとんと一歩その距離を詰めた。
(あ──)
それは見事にこの童女を──天照という女神を表し、嘆く言葉であった。
神依は彼女がなぜその姿で在るのか理解して、またこの世界に来て初めて聞いたその名に、あの原初の男神……そして、女神を想う。
「あ……あなたが、天照様というなら……あなたの、お母様は」
「母など知らぬ。我が父神は偉大なる天つ大神ぞ。神を生むにその御身の手振り、御声一つで充分じゃ」
「……」
天照は一瞬不機嫌そうな顔をして、しかしすぐに自慢気にそう語る。それは、そう言われてしまえばそうかもしれないが、神依にはとても悲しい言葉だった。命と性とを拒む言葉。それどころか、彼女は全身でもってそれを表現している。
形容し難い表情で黙ってしまった神依に、しかし天照は気にした風もなく、あざといくらい可愛い仕草で彼女を招き寄せしゃがむように言った。
「……」
神依は大人しくそれに従い、禊にはそれを見守るしかできない。ゆっくりと立ち上がり、気持ち裳裾の土を払って天照と背丈を合わせるよう膝を折れば、天照はとんと一歩その距離を詰めた。

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