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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第16章 白日の下
禊はその女と背後に控える巫女や禊達の想いを全て正しく理解し、何が起きるか、自分がどうなるか知った上で、それでも自身の主であり──想い人である少女を守るよう、それだけを心の軸に立っていた。
かつて慕った兄はもはや、生気を宿さず現を映さぬ目でそんな自分を眺めている。けれども全ての“禊”を束ねる禊、“大兄”として、主たる玉衣の傍らに控え、またその背で“禊”達を守るようにそこに在った。これから彼らが犯すであろうあらゆる罪を背負うように、そこに在った。
身動きできない神依と、それを守る最後の砦──酷く脆い砦となっている忠厚き禊に、童女は見せ物を見ているようにふふと笑い、自らを抱く手の者は見ようともせず、その黄とも緑ともつかぬ衣の袖から離れてとたとたと神依と禊に駆け寄る。
「……ッ」
童女は愛くるしい笑みを浮かべていたが、しかしその大きな瞳に捉えられた禊はその物言わぬ覇気に指一本動かせなくなった。指一本でも動かそうものなら一瞬で鼠軼と同じ黄泉路を辿る気がして、身動き一つ取れない。
それは童女の目が、決して笑ってなどいなかったからかもしれない。童女の纏う威圧的なそれは異様なほど静かで、熱いほどに彩度が失せていく炎のようだった。
かつて慕った兄はもはや、生気を宿さず現を映さぬ目でそんな自分を眺めている。けれども全ての“禊”を束ねる禊、“大兄”として、主たる玉衣の傍らに控え、またその背で“禊”達を守るようにそこに在った。これから彼らが犯すであろうあらゆる罪を背負うように、そこに在った。
身動きできない神依と、それを守る最後の砦──酷く脆い砦となっている忠厚き禊に、童女は見せ物を見ているようにふふと笑い、自らを抱く手の者は見ようともせず、その黄とも緑ともつかぬ衣の袖から離れてとたとたと神依と禊に駆け寄る。
「……ッ」
童女は愛くるしい笑みを浮かべていたが、しかしその大きな瞳に捉えられた禊はその物言わぬ覇気に指一本動かせなくなった。指一本でも動かそうものなら一瞬で鼠軼と同じ黄泉路を辿る気がして、身動き一つ取れない。
それは童女の目が、決して笑ってなどいなかったからかもしれない。童女の纏う威圧的なそれは異様なほど静かで、熱いほどに彩度が失せていく炎のようだった。

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