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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第16章 白日の下
 (しかし──)
しかし身を隠すにも、ここは家と庭があるだけの小さな孤島。神依一人隠すにも奥には風呂しかないし、家ではそれこそ稚児の遊びと変わらない程度の場所しかない。
 辺りを見回し逡巡している禊に、未だ状況が理解できていない神依は手のひらに乗せたままの鼠軼を見る。鼠軼はまじないを唱えるように何事かを呟き、尾に巻いていた珠を抱きしめていた。
「鼠軼様……一体なにが……」
「──“来てはならぬ”……“来てはならぬ”……。“絶対に来てはならぬ”者が、淡島からこちらに向かっておる……儂の言霊など効かぬ──。あれは──」
「……え?」
しかし必死で紡がれていた言葉は半ばで途切れ、……その後すぐ、何が起きたか神依には分からず、ただ呆然とその場に固まった。
 「……み……そぎ」
「っ……」
ただ見たままを言うならば、鼠軼の小さな体は瞬時に白い炎にまかれて干物のようにひしゃげ、断末魔の叫びを上げる間すら無く、尾に巻いた珠ともども黒い塵となってしまった。
 それは先程、子龍に酒を注いでやったときと同じように丸くしていた手のひらに溜まり、やがて一粒の雪を乗せた風に浚われ神依の手からこぼれていく。
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