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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第15章 文枕
ただ、俺の方こそお前に無理をさせてしまっていないか、それが不安だ。

あの水の森の空気は冷たくないだろうか。
今のお前には、凍てつくような寒さなのではないだろうか。

その寒さ冷たさに、またお前が傷付くのではないかとそればかり憂えてしまう。

だからどうか、無理だけはしないでほしい。お前にその寒さを味わわせるくらいなら、俺が凍えていた方がましだ。
今はお前がくれた文があるから、それを枕に寝ようと思う。

それにしても、お前の文も、俺に懐かしさばかりもたらすな。

生まれたばかりの獣のようだったお前が、いつからこんなに、瑞々しささえ感じられるようになったのだろう。
ほんの一時でもつがいとしてあれた幸せを、今になって一人噛みしめている。

またあの社に二人で行きたいな。彦は時折、顔を覗かせているようだ。
きっとまた適当なことを言って、子供達に俺達のことを吹聴しているんだろう。
ただ、子守りがいなくなって不満だと言われた。彦が赤子を抱くと、泣き通しになって駄目なんだそうだ。

ああ、今、書きながらいいことを思い付いた。
春と秋の祭には、二人で忍んで遊びに降ろう。そうすればきっとあの村は、その年、淡島一実り豊かな村になる。
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