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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第15章 文枕

***

神依。
そういえば、お前はこんな字を書くんだなと初めてそんなことを考えた。
丸くて、笑っているように見える。お前らしい。

だからか、返事を読んでいる間中ずっとお前の声が聞こえているような気がした。
お前の笑みも、涙も、全部手を伸ばせば届きそうな場所にあるような気がした。
俺のために、というのは俺の傲慢だろうか。それでもお前がもう一度、こうして言葉を紡いでくれたことが本当に嬉しい。
ありがとう。
お前の禊も、誰よりも女々しい俺の心を判っているようだ。似た者同士だからだろうか。

けれどこれからは、多分お前一人でも読める形の文になっていると思うから、お前が俺と同じように、身の内を焦がす程にこの手紙を読んでくれたら嬉しい。
あの日当たりのいい縁側ででも、褥の中ででも。
胸に抱いてくれたら嬉しい。

俺も今はその程度の自由しかないが、お前のおかげでいつも、心地いい目覚めを迎えられている。

お前はいつも、稲穂を捧げてくれていたんだな。
お前がなぜそれを選んでくれていたのか、不思議でしょうがない。けれど俺は、それをこの上ない幸せだと感じられる。
その理由を、お前はもう知ってくれているのだろうか。だとしたら、もっと嬉しい。
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