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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第15章 文枕
けれども今ようやく、その一番大事な要の二本が結ばれて、固い玉になった気がした。できることならばそれが、文箱に施された木の織物紐のように……二度とほどけない結び目となることを願って。
そうして猿彦は日が変わる前に、未来永劫どこかに秘されるか、持ち主の手によって焼かれて消える運命の紙の束を持って、自らも家路に着いたのだった。
【4】
文箱の中には、文と一緒に日嗣の笄(かんざし)が入っていた。
それは神依にも見覚えのある、金でできた棒差し簪。蔓と葉とで植物を象ったそれは、神依が初めてこの世界に来た日、日嗣が髻華(うず)と呼んでいたものだった。
神依はそれを、本当は櫛を入れるはずだった巾着にくるんで、常は自身の宝物入れの一番奥にしまって大事にしていた。
けれども返事を待つ間、その寂しさを紛らすように時折手に取って眺めてみたり、似合いはしなかったが髪に当ててみたりして。
結局櫛は月読に持ち去られたまま返ってこなかったが、今はそれに代わって神依の一番の宝物となっていた。
それから神依は禊や童と相談して新しく糸を紡ぎ、前に紡いだまま残っていた糸房と合わせて染めを行い、髪紐に仕立てて日嗣に贈ることに決めた。
そうして猿彦は日が変わる前に、未来永劫どこかに秘されるか、持ち主の手によって焼かれて消える運命の紙の束を持って、自らも家路に着いたのだった。
【4】
文箱の中には、文と一緒に日嗣の笄(かんざし)が入っていた。
それは神依にも見覚えのある、金でできた棒差し簪。蔓と葉とで植物を象ったそれは、神依が初めてこの世界に来た日、日嗣が髻華(うず)と呼んでいたものだった。
神依はそれを、本当は櫛を入れるはずだった巾着にくるんで、常は自身の宝物入れの一番奥にしまって大事にしていた。
けれども返事を待つ間、その寂しさを紛らすように時折手に取って眺めてみたり、似合いはしなかったが髪に当ててみたりして。
結局櫛は月読に持ち去られたまま返ってこなかったが、今はそれに代わって神依の一番の宝物となっていた。
それから神依は禊や童と相談して新しく糸を紡ぎ、前に紡いだまま残っていた糸房と合わせて染めを行い、髪紐に仕立てて日嗣に贈ることに決めた。

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