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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第15章 文枕
そしてそれに聞き覚えのあった神依は禊と顔を合わせると、急いで玄関を抜け小走りに駆けた。
「──ただいま戻りました! 猿彦さんっ」
「おー神依、邪魔してるぞー」
あの夜伽のための部屋とは異なる、普通の客間。声のしたそちらへ向かい勢いよく襖を開けると、そこには鼠軼達を交えて一杯やっている猿彦の姿が在った。
「びっくりしました。こんな遅くにどうして?」
「まあいいから座れよ、外は寒かっただろ。話は全部、あったまってからな」
猿彦は外套を被る神依を見て、それが寒さ避けでないことも理解してそれでも何事もないかのように手招く。
禊も童から仕事を引き継ぐと一層のもてなしの準備を始め、神依も少しだけその御相伴に預かり、小さな猪口を傾けながら温かい小料理を口にした。
その間、猿彦の傍らにはずっと何かの紙の束がつくねられており、その上には綺麗な木でできた長細い箱が鎮座していた。ふたの上にはたっぷりとした蝶々結びの織物紐まで色の違う木で細工されており、この神が持つには何とも可愛らし過ぎる不思議な箱。
神依がじっと見ていれば、それに気付いた猿彦は唇に笑みを作って盃を置き、紙ごと箱を引き寄せた。
「──ただいま戻りました! 猿彦さんっ」
「おー神依、邪魔してるぞー」
あの夜伽のための部屋とは異なる、普通の客間。声のしたそちらへ向かい勢いよく襖を開けると、そこには鼠軼達を交えて一杯やっている猿彦の姿が在った。
「びっくりしました。こんな遅くにどうして?」
「まあいいから座れよ、外は寒かっただろ。話は全部、あったまってからな」
猿彦は外套を被る神依を見て、それが寒さ避けでないことも理解してそれでも何事もないかのように手招く。
禊も童から仕事を引き継ぐと一層のもてなしの準備を始め、神依も少しだけその御相伴に預かり、小さな猪口を傾けながら温かい小料理を口にした。
その間、猿彦の傍らにはずっと何かの紙の束がつくねられており、その上には綺麗な木でできた長細い箱が鎮座していた。ふたの上にはたっぷりとした蝶々結びの織物紐まで色の違う木で細工されており、この神が持つには何とも可愛らし過ぎる不思議な箱。
神依がじっと見ていれば、それに気付いた猿彦は唇に笑みを作って盃を置き、紙ごと箱を引き寄せた。

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