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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第15章 文枕
 このまま月読を受け入れ高天原に召し上げてもらうか、進貢を止め淡島の巫女としての役目も放棄し、共同体から切り離されて神からも人からも忘れられて孤独に生きるか……日常を取り戻し、自らの想いを貫き通すため、困難に立ち向かう勇気を持って人前に姿を晒すか。
 「妬み嫉みは人から言われて収まるものでもない……上手く昇華できる者も、できぬ者も在る。だから私も全ての害悪を取り払うことはできぬし、そなたに無理強いをすることもできぬ」
「……」
「ただ、神依。そなたが月読様に召し上げられれば私は嬉しい。故にその時は、この瑠璃杯を混ぜたあらゆる宝や玉と共に真白の衣を着たそなたを淡島より送り出そう。
或いは隠遁する道を選んだとて、禊や童は側に在る。それに、時にはこうして人目を忍んでまみえることも出来ましょうて──その時はまた、この瑠璃杯でもてなそう。そなたが好きそうな可愛らしい菓子も甘い水菓子も、この机の上に山を成すほど用意してな」
「洞主様……」
 それは昼間大兄が告げた通り、解決にはならなかったが心の休まる話ではあった。
 そうして神依が杯を空にするまで、洞主はいろんな話をしてくれたり珍しい物を見せてくれた。
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