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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第15章 文枕
 「洞主様も大兄さんも、そういうことを何度も経験したから、今みたいに強くも優しくもあれるんですね……」
「ふふ。そなたがそう申すなら、いつかきっとそなたもそうなる。そなたを見ていると、まるで鏡映しのように昔の自分を見ているような気がしてな──そしてこの言葉は私が先代の洞主様から頂戴したお言葉でもあるから、私が婆様になったら次にここに座るのは神依やもしれぬ」
「そ……そんな。私じゃ無理です──」
そしてそんな悪戯混じりの言葉にも、神依は慌てて頭と手を横に振って否定するが、洞主はそれも承知のように笑って見せた。
「そうそう、それよな──そなたは少し、我慢をしたり遠慮をし過ぎるきらいがある。それは或いは美徳かもしれぬが、誇るべきところは誇った方が、却って相手の癇に障らぬこともあるのだよ」
「そう……なのですか?」
「そうだとも。その頬の朱印のことも──此度はお相手があの月の神ゆえ、もはや表立ってそなたをどうこうできる者も居らぬとは思うが……淡島の巫女なれば、もっと堂々と胸を張ってその寵を見せつけておやり。さすればいかな悪しきことが起ころうとも、その時はそなたの想う男神がそなたの前に立ち、そなたを護ってくれる」
「洞主様──」
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