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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第15章 文枕
玉衣は何事かを考えるように虚空を見上げると、それから少しののち再び神依に視線を戻し、苦笑気味に続けた。
「大弟の申す通り、頭では理解できても心が追い付かぬ時がある。いや、それすら弾き飛ばして身が動いてしまうのが女というもの。群れられては、なお厄介なものだ」
「あの……洞主様も昔、そういう目に遭ったと」
「そうじゃな──嫉妬も女の花とは申せ、その焔の花片に焼かれる方は堪ったものじゃあない。この大兄ですら肝を冷やすようなことが、幾度もあった」
「……」
それで洞主の傍らに戻っていた大兄を見れば、大兄は肯定を表すように頷く。ただ眉根を寄せる大兄からは洞主の口調以上に良くない仕打ちがなされたことが窺えて、神依はきゅ、と身を竦めた。
例えば御霊祭の時のような……あんなにも寂しい時を、何度過ごせばこの女性に近付けるのだろう。それすら乗り越え、地位を、人格をも兼ね備えさせたその強さは、一体どこからもたらされるものだったのだろう。
少なくとも今の自分にはそんな強さは無いが──ただその代わり辛い時を一緒に過ごし支えてくれた禊や童がいるから、やはり最終的には自分達の力で、一つずつ乗り越えていくしかないような気もした。
「大弟の申す通り、頭では理解できても心が追い付かぬ時がある。いや、それすら弾き飛ばして身が動いてしまうのが女というもの。群れられては、なお厄介なものだ」
「あの……洞主様も昔、そういう目に遭ったと」
「そうじゃな──嫉妬も女の花とは申せ、その焔の花片に焼かれる方は堪ったものじゃあない。この大兄ですら肝を冷やすようなことが、幾度もあった」
「……」
それで洞主の傍らに戻っていた大兄を見れば、大兄は肯定を表すように頷く。ただ眉根を寄せる大兄からは洞主の口調以上に良くない仕打ちがなされたことが窺えて、神依はきゅ、と身を竦めた。
例えば御霊祭の時のような……あんなにも寂しい時を、何度過ごせばこの女性に近付けるのだろう。それすら乗り越え、地位を、人格をも兼ね備えさせたその強さは、一体どこからもたらされるものだったのだろう。
少なくとも今の自分にはそんな強さは無いが──ただその代わり辛い時を一緒に過ごし支えてくれた禊や童がいるから、やはり最終的には自分達の力で、一つずつ乗り越えていくしかないような気もした。

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