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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第15章 文枕
童に見せてあげたい、と思いながら神依はそれを傾ける。中身は水のように見えたが、こくがあって甘い果物の混ざった不思議な味がした。
 「──然らば、私の可愛い娘巫女よ。その頬の御仁とどのような一夜を過ごしたか、私にも教えてはくれぬか。きっとかの神が囁いた言葉は、今口にするその果実水より甘かろう──」
「んっ……」
そうして悪戯そうに紡がれた言葉に神依は危うくむせかけ、慌てて禊から手巾を受け取った。しかしそれで口を拭くのと同時に神依を黙らせた禊は、神依に代わり自ら話を先に進める。
 「それよりも洞主様──今は何より、今後のことをご相談させていただきたいのですが」
「ああ……そうであったな。すまぬな神依、私も嬉しゅうて、つい年甲斐もなくはしゃいでしまった」
「あ──いえ。禊……」
それで神依は、伍名のことを伝えなくていいのかと禊を見上げるが、禊は今はいいと頷く。
 「他にお話申し上げたきことも多々ありますが、私が優先すべきは神依様の身の安全です。元より巫女は神を選べず、拒めもできぬもの。頬の朱印は神依様の咎(とが)ではありませんが、このままではまた他の巫女らに害されてしまうのではと」
「ふむ──」
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