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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第15章 文枕
「神依様がこの現(うつつ)の淡島にて見出だしたる日嗣様は、そのように残酷な振る舞いをなさる方でありましたか」
「禊……」
「神も人も──変われるのです。だからどうか、貴女の日嗣様を信じて差し上げて下さい。巫女としても……人としても」
「……ん」
禊が何を語っているのか、神依は伍名が訪れた晩のことを想い、確かにそうなのかもしれない──と頷く。
 あの日から禊は変わり、ごくごく自然に日嗣の名を口にするようになった。そんな禊の言葉だから、神依にも信じられる。
 確かに日嗣の過去は、神依には何もできないままその記憶を一方的に視せられただけ。けれども神依は確かにここで日嗣と語らい、互いに涙を見せ、笑みを、眼差しを交わして触れ合ってきたのだ。
 (……でも)
それに神依は少し不服そうに唇を尖らせる。
「……なんか、今は私より禊の方が日嗣様と近い気がする」
「それは──」
一体何の嫉妬を向けられているのか、禊は一瞬怯んだように言葉を詰まらせ、しかし呆れ混じりに一度息を吐くとそれに答えた。
「それはきっと御令孫と私が男で、貴女が女だからでございましょう」
「何それ。……ずるい」
「ずるくはありません。ただ……ややこしいだけです」
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