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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第15章 文枕
「……ずっとこのまま閉じこもる訳にもいかんと、その腹積もりはあるのだな」
「それは……勿論。ただ……」
「……」
禊が全てを語るまでもなく、大兄もすぐにその先に待ち受けていることを理解して渋面を作る。
 また女達が荒れる。しかも今度は正式な妻を持たない男神。あの天孫日嗣の血族であり、高天原で唯一、天照と対をなすことを許された男神。
(だが……おそらくこれで……)
その天孫自身との縁(えにし)は断ち切られてしまっただろう。
 御霊祭から何がどれほどあったか、一介の巫女の暮らしを始終知ることはできないが、もはや相手があの月の神では抗うにも難いだろう。そして何より、天孫は女を信じない。例えあれからどんな交流があったとて、もう二度とここに降ることは無いはずだ。
 大兄は一度眉を下げると唸り、今度は自らに性(しょう)を付けるよう勢いよく立ち上がった。
 「──今晩、玉衣様にお時間を取っていただく。まだ体がお辛いかもしれんが……参られるか」
「大兄さん……」
「なにぶんこれも前例無きこと故……玉衣様もすぐにどうするか結論を出すことはできんかもしれんが、お気持ちが楽になることはあろう。ひとまずは俺の方から話だけは通して、人払いを済ませておく」
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