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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第15章 文枕
「……大兄さん、わざわざお越しいただいてありがとうございます。それに……また洞主様にもご心配お掛けしてしまったみたいで、ごめんなさい」
「あ──ああ……いや。……体調はいかがか」
「……何日か悪かったのは本当です。でも今は……平気です」
「……そ、そうか……、いや……しかし」
大兄は我ながら下らない質問をしてしまったと思いつつ冷静さを保とうとして、けれどもそれもできずに頭をかく。
「妻問いがあられたのか……。しかも、それは……その、何と申していいか」
「やっぱりこれは……変なんですね」
「いや……変、というかな……」
まるで朱印をなぞるかのように、指先で頬に触れる巫女。大兄は予想だにしなかった事態に「参った」と溜め息混じりの声を吐き出すと、その場に屈んで頭を抱えた。
 「大兄……」
「──信じられん。あの玉衣様かて、上は衿に隠れる程度だぞ。しかもお前達……それは月読命様のものであらせられるだろう。まさかあの三貴子の中一柱がお降りあそばすとは……」
「……ですが、これで私が殊更彼女を秘めた理由がお分かりいただけたでしょう。……今はまだ、本当にお身体が本調子ではないので、障りが出ぬようお休みいただいていますが……」
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