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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第15章 文枕
 もっと早くから、中央に近い巫女らが集まる邑(ムラ)に住まわせ年の近い友人を作り、適当に歌でも楽でも何か興味を持たせ、それを得意とする年上の巫女達から習うようにさせておけば良かったのだ。そうすれば──多少異質なことがあってもいずれは互いに慣れて、気にならなくなる。中には心から打ち解けられる友もできたかもしれない。
 だがそれをしなかったのは何か余程の訳あってのことなのだろうかと……大兄はかつての弟分の姿を思い浮かべながら、跳び石を渡る。
 そのまままっすぐ道を進み、自身の背丈がぎりぎりで通る門を潜ればすぐに家の玄関が見えた。
 「──邪魔をする。大弟はいるか」
「あ──」
声を掛けながら戸を引けば、ちょうど前の廊下を童が通り過ぎたところだった。
 童は一瞬、驚いたような顔をして立ち止まる。
「大兄様──」
「一ノ弟」
そして何事かを言い掛けたところで奥の方から出てきた禊に制止され、目で奥へ行くよう促される。禊はそれを見送ると、改めて大兄を迎えた。
「このような所まで大兄が出向くとは珍しい。どうかなさいましたか」
「どうかなさいましたかじゃないだろう──」
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