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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第15章 文枕
そして猿彦が背後の生きた人形に問えば、それはしばらくの沈黙の後、ただ淡々と物の出入りについては言及されておりませんとだけ答える。
それで日嗣にはようやく一人、見分けが付くようになった。
***
大兄が神依の元を訪ねたのは、神依が進貢から姿を消して十日余りの頃だった。
あのチ龍を伴って広場に訪れたり、禊にまで献花をさせたり……御霊祭の件も含め元々目立っていた者がいなくなれば、それはそれで話が人の口に上る。事実それはすぐに玉衣の耳に入り、何かあったのではないかとこうして大兄が寄越されたのだった。
もはや見慣れてしまった水の森の広場を抜け、いくつかの小島を渡り──最後に民家を見てから、如何ほどが経ったのか。
木立を抜け、おそらくは元の家主が見ていたのだろう小さな放置畑と冬の桑畑を横目に島の縁にある細い道を進んでいけば、ようやく竹林のある小さな島が目に入った。
(……随分と離れた場所に居を構えたな)
あの少女が奥社から降る際、大弟から移り先を聞いていたが──実際に赴いてみると、そこは本当に離れ小島といった趣の場所。
──だから人にも混じり難いのだ、と大兄は思う。
それで日嗣にはようやく一人、見分けが付くようになった。
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大兄が神依の元を訪ねたのは、神依が進貢から姿を消して十日余りの頃だった。
あのチ龍を伴って広場に訪れたり、禊にまで献花をさせたり……御霊祭の件も含め元々目立っていた者がいなくなれば、それはそれで話が人の口に上る。事実それはすぐに玉衣の耳に入り、何かあったのではないかとこうして大兄が寄越されたのだった。
もはや見慣れてしまった水の森の広場を抜け、いくつかの小島を渡り──最後に民家を見てから、如何ほどが経ったのか。
木立を抜け、おそらくは元の家主が見ていたのだろう小さな放置畑と冬の桑畑を横目に島の縁にある細い道を進んでいけば、ようやく竹林のある小さな島が目に入った。
(……随分と離れた場所に居を構えたな)
あの少女が奥社から降る際、大弟から移り先を聞いていたが──実際に赴いてみると、そこは本当に離れ小島といった趣の場所。
──だから人にも混じり難いのだ、と大兄は思う。

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