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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第14章 墨染めの恋
日嗣自身も鞘と柄に手を触れたまま身動きできず、ただ衛士らの無機質な眼差しだけが、そのまま日嗣を逃さぬことだけを告げている。
「何の……つもりです。……大叔父上……」
そしてこの場で唯一自由に、悠然と在る月読に、日嗣はようやく視線と声だけをこの戒めから解放して問う。
すると月読も今度こそ立ち上がり、日嗣に近付くと小馬鹿にするようにその乱れた髪に神依の櫛をかけた。
「……毛筋ほどは他の者の機微に気を掛けるべきであったな。ましてや姉上の跡を継ぎ、人の上に立つ者になろうとするならば尚更……人の心のどこにどう触れればその者がどうなるか、伍名に習うといい」
「まさか……」
「そう……お前が伍名と会い、その後ここに来ることはもう私には分かっていた」
「……」
「そしてここは、神のあらゆる暴挙が許される淡島ではない……。法と掟に守られた高天原……その中枢の二である、月讀宮ぞ。こともあろうに、そこで剣を抜いて主神に狼藉を企てるなど……お前が天孫、日嗣でなければ救いようもない」
月読は最後にさらりと日嗣の長い髪を手のひらで流し、再び櫛を自らの袖に戻すとあの薄い笑みを浮かべて続ける。
「……あの娘は、お前の罪の全てを知っておったぞ」
「……は……、……?」
「何の……つもりです。……大叔父上……」
そしてこの場で唯一自由に、悠然と在る月読に、日嗣はようやく視線と声だけをこの戒めから解放して問う。
すると月読も今度こそ立ち上がり、日嗣に近付くと小馬鹿にするようにその乱れた髪に神依の櫛をかけた。
「……毛筋ほどは他の者の機微に気を掛けるべきであったな。ましてや姉上の跡を継ぎ、人の上に立つ者になろうとするならば尚更……人の心のどこにどう触れればその者がどうなるか、伍名に習うといい」
「まさか……」
「そう……お前が伍名と会い、その後ここに来ることはもう私には分かっていた」
「……」
「そしてここは、神のあらゆる暴挙が許される淡島ではない……。法と掟に守られた高天原……その中枢の二である、月讀宮ぞ。こともあろうに、そこで剣を抜いて主神に狼藉を企てるなど……お前が天孫、日嗣でなければ救いようもない」
月読は最後にさらりと日嗣の長い髪を手のひらで流し、再び櫛を自らの袖に戻すとあの薄い笑みを浮かべて続ける。
「……あの娘は、お前の罪の全てを知っておったぞ」
「……は……、……?」

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