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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第14章 墨染めの恋
そして月読から更なる真実を聞いた日嗣は、文字通り絶句した。
「しかもあれは、その瞬間を己が目で“視た”と言う。……あれは本物の巫女だ……そしてあれには途方もない、ある一柱の神が依りついて、慈しんでおる」
「……」
「……いい加減にお前も自覚せよ……。お前だけが楽しく笑い、泣き叫べば許される童児の時間は終わりだ……。私が何ゆえ神依の頬に朱印を刻んだか……理由は他にもあるが、今語ったこともまた、私の真の心でもある。腰を据えて護らねば、あれはすぐに何かに拐われるぞ」
「……」
「……とはいえこれから先、神依の周りをお前にうろちょろされると都合の悪いことがあるのでな。……しばし自宮で、己が短慮の選択を悔い謹慎しておれ」
「あ……、お……お待ち下さ……、大叔父上……!」
月読はそれだけを言い残すと控えの者を呼び、後片付けを命じるとまた酔ったようにふらりと部屋を後にする。
 日嗣はそれを追おうとするが、衛士らに押し留められそれ以上を求めることはできなかった。
 「──ッ……神依……!」
ただ告げられた真実に、日嗣はそこには居ない少女を抱き寄せるように両手で強く自らを抱き……。
 気付いた時には自身の居室に呆然と在って、その出入口には日々見分けの付かぬ、生きた人形が置かれるようになっていた。

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