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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第14章 墨染めの恋
反射的に、携えていた剣に手が伸びる。
 安易にその像を結ばせる粘ついた語り口とそのやり口は、日嗣を激昂させるのに充分だった。自分が贈ったあんな細やかな物のために、こんな男にかしずき、身を傷めた神依がまた違う形で蹂躙されるのは耐えられなかった。目の前の男神の愛欲はもはや狂気に近しく、それが言う通り、あの動く死体か生きた人形のような姿にされても神依は痛ましく泣いている気がした。さっきのように、固く強張った笑みで──月読の名を呼びながら自分に救いを求め、しかしそれさえも身の穢れを憂いてためらい、哀しい涙を流しているような気がした。
 なぜそんな健気な愛しき娘を、ただ一人この男の獣欲の贄に変えなければならないのか──かつて自らの始祖がそうしたように日嗣の指は剣の柄を握り、遂にその白銀の光を鞘の外へと晒す。
 ──刹那、
「──抜いたな」
月読の顔が歪んだ。

***

 「──ッ……!?」
直後、方々の襖や戸口を蹴破り衛士らが乱入してくる。
 そしてその動く人形らは日嗣がその刀身全てを抜き去るより速く円を成し、一度の風を切る音だけで槍を突き出すとその穂先で日嗣を囲んだ。
「……っ」
日嗣がそれらを窺っても、衛士らは瞬き一つせず槍を引かない。
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