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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第14章 墨染めの恋
「そして私はあれが欲しくなった。私が何をしようとも決して壊れぬ、この華奢な瑠璃硝子のような娘──いや、一度は割れたがあの娘は自ら金継ぎを施し、更に美しく、更に味わい深く私の前に在ってみせた。あれを真に愛でることができるのは私だけだ。──ああ……だが安心せよ。私も鬼ではないし、存外お前のことも気に入っておる……。故に、先の蝋紙一枚はそのまま残し置いてやろう」
「何を……今更……!」
「分からぬか。……お前が想いを遂げ、神として満つるまでは待ってやると申しておるのだ……。しかしその後は、あれは私が貰う。この燻る欲を膿むほどに溜め、身の内を焦がし、しかしいずれお前が神依と契ったならば、その夜の内に私が花嫁を寝取り万年の時をこの宮で囲い愛で尽くしてやる。三千世界の烏の目さえ届かぬこの宮の奥の奥で……情欲を煽る紗の白無垢と月の玉飾りを纏わせ、朝も夜もなくその身を貪り私だけに溺れさせてやる。お前が孤独であった何倍もの時、あの夜露の瞳に映るのが私一人であるように……その腹を私の子で膨らませ、お前の姿さえ私に見紛い、月読様と私の名を呼び、その大層な衣を除けて愛おしそうに雄肉に頬を寄せ口付けるよう、躾てやる──」
「──ふざ……けるなァア!!」
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