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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第14章 墨染めの恋
精一杯の冷静さを装う大甥に、月読は軽く笑んでみせる。男神の長を名乗る気など毛頭無けれど、高天原に月読より上を行く男神はいない。
 或いは日嗣が正式に天照の後継者としての生活を送っていれば別だったかもしれないが──出奔に近い身の振り方をしてきた今の日嗣には、並の者ならまだしもこの神にそれを振りかざすことはできなかった。
 それでも胸中にはやるせない思いが渦巻いて、目の前の神を責めずにはいられない。そのあらゆる所業を、問わずにはいられない。悔しかった。
「……何故です。神依は私が取り立てた娘だ。それは大叔父上もご存知のはず」
「だからこそ私の目にも触れた……そしてあの巫女は、私の心に叶う振る舞いを存分にしてみせた。故に私は、それに相応しき証を残しただけのこと……。いや……それでもなおあの娘が自分のものだと申すなら、お前こそ何ゆえこのような場所におるのだ……?」
「は……?」
「お前が真にあの娘に惚れておるのなら、真っ先になすべきは私の前に立つことではない……ただ禊の腕からあの手弱き身を奪い、その豪勢な衣を汚しながら自らの胸に抱くことだけだ」
「それは──神依が──」
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