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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第14章 墨染めの恋
その言葉と重なるようにくすりと笑む声が聞こえ、そちらに目を戻せば、日常と心の栄養を取り戻すかのように……それでも力無く、笑む神依と視線が交わる。
 「……ごめんな。俺が……伍名に話しちまったから」
「……」
それで改めて座り直し、先程の日嗣と同じように手を伸ばせば……神依は今度はそれを受け入れつつも、緩く頭を横に振った。
「……伍名様も、月読様も、……日嗣様のためだと。私は……それを、信じました。信じたから……お二人も、一線は守って下さいました。……だから……平気です」
それでも何かを我慢するように苦し気に笑む神依に、その原因の一端を感じた猿彦は言い訳でもなく、ただ友を庇うよう優しい口調で神依に語り始めた。
 「……なあ神依。ちょっと笑わねーで聞いてやってくれるか?」
「? ……はい」
「確かに孫にも、そうする機会は何度もあった。御霊祭の後から、お前らうんと仲良くなったもんな」
「……」
猿彦が何を語ろうとしているのか……それに気付いた神依はまた一瞬で顔を強張らせ、それでも頬にある大きな手と、この世界で初めて思いやりをくれた声に、五感を預ける。
 信じたのは……伍名や月読である前に、この神の優しさだったと今更思い出した。
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