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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第14章 墨染めの恋
泣き笑いの表情を浮かべ、こんな状況にも関わらず必死でそんな言葉を紡いでくれた少女に、日嗣は確かにいじらしさを感じていた。けれどそんな姿を見せてくれるほどに、何もしてやれなかった自分が情けなく思えてくる。何も知らなかった自分が赦せなく思えてくる。
こんな虚ろな装束のために拒絶され、こんな形だけの自分のために、あの痛みに慣れていない柔らかな身を傷付けさせて──
そのやるせなさを、思いやりに変えて撫でてやることすらできない。
ただ自分の無力さと愚かさ加減とに行き場の無い怒りを覚え……唯一それをぶつけるに相応しい者を愛しい少女の頬に見付けた日嗣は、
「──大叔父上ェ……ッ!」
剥き出しの歯を見せ、獲物を囲う獣のように引き絞った声で唸ると、立ち上がって一気にその身を翻した。
「孫──」
「どけ!」
背後に在った猿彦さえ突き飛ばし廊下を駆け抜ける日嗣に、猿彦はただ無言のままそれを見送る。
それからその慌ただしい音が消えた頃、同じようにその先を見つめる者達の視線に気付くと……やはり無言のままに彼らの前に座して、その巨体を曲げた。
「……、悪い」
もはや他に言うべき言葉が思い付かず、その場で頭を下げることしか出来ない。
こんな虚ろな装束のために拒絶され、こんな形だけの自分のために、あの痛みに慣れていない柔らかな身を傷付けさせて──
そのやるせなさを、思いやりに変えて撫でてやることすらできない。
ただ自分の無力さと愚かさ加減とに行き場の無い怒りを覚え……唯一それをぶつけるに相応しい者を愛しい少女の頬に見付けた日嗣は、
「──大叔父上ェ……ッ!」
剥き出しの歯を見せ、獲物を囲う獣のように引き絞った声で唸ると、立ち上がって一気にその身を翻した。
「孫──」
「どけ!」
背後に在った猿彦さえ突き飛ばし廊下を駆け抜ける日嗣に、猿彦はただ無言のままそれを見送る。
それからその慌ただしい音が消えた頃、同じようにその先を見つめる者達の視線に気付くと……やはり無言のままに彼らの前に座して、その巨体を曲げた。
「……、悪い」
もはや他に言うべき言葉が思い付かず、その場で頭を下げることしか出来ない。

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