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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第14章 墨染めの恋
 暴力と凌辱の傷痕。また褥や衣に破瓜の証こそ無けれど、その頬には長年この淡島に在ってさえ見たことのない、露骨な寵愛の証があって──。
 余りの事態に、何を言葉にすべきなのか分からなかった。ただその姿があまりに痛々しくて、いじらしくて。
「……、……大叔父上だな」
「ですが──ですがその操は守られております……! 神依様は荒ぶる神の暴威にも耐え忍び、辱めにも屈することなく、貴方様のためにその身の純潔と誇りをお守りになったのです! 御令孫におかれましては、どうか──」
「……」
結局掛けてやるべき言葉も見付からず禊に意味をなさない問いをすれば、堰を切ったように、なお一途にその想いを捧げられ……そのどうしようもない苦渋に日嗣はぐっと拳を握り締め、無言のまま分かっている、と頷いて応えた。
 どうしていいか分からず、それでも神依に自分の心のひとかけらでも触れてもらいたくて……なるべく怖がらせないように隣に跪けば、その気配を感じたのか、一瞬視線がこちらに向けられた。
「……すまない。……俺が……」
もっと早く駆け付けていれば。
 日嗣はその謝罪と共に精一杯の思いやりを乗せて、一度は握り締めた拳をほころばせ、その腫れた頬を抱こうと手を伸ばす。
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