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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第14章 墨染めの恋
「……ッ」
日嗣も神依も何も言葉を発することができず、ただ苦痛に顔を歪める。しかしその沈黙の中、互いの空気が一変したことにも気付いてしまった。
引き潮のようにざあっと後退していくそれは、互いに見てはいけないものを見てしまった、見られたくないものを見られてしまった、後悔や無念さを現したもの。
そして神依には、その感覚がどういうものか痛いほど分かっていた。それはそのまま……かつて黄泉国で“母”が味わった羞恥と絶望。その場面を再現してしまったものだった。
──嫌われる。
神依が思ったのは、ただそれだけだった。
「……ご……ごめん、なさい……」
日嗣の耳に、布擦れ程もか細い神依の声が届く。神依は日嗣の言葉も待たず、頬に流れる髪をかき寄せ、更に禊の腕に隠れるように体を縮めた。しかし顔を背けたその背には何か強く打ったような痕もあって、どんな仕打ちを受けたのか日嗣自身にもその一端が垣間見れた。
(……分かっている。伍名がこれを暗に示したなら、神依が謝るようなことは何も無い……、だから……謝らなくていい。……しかし……)
どうしてやるのが一番いいのか、日嗣には分からなかった。
日嗣も神依も何も言葉を発することができず、ただ苦痛に顔を歪める。しかしその沈黙の中、互いの空気が一変したことにも気付いてしまった。
引き潮のようにざあっと後退していくそれは、互いに見てはいけないものを見てしまった、見られたくないものを見られてしまった、後悔や無念さを現したもの。
そして神依には、その感覚がどういうものか痛いほど分かっていた。それはそのまま……かつて黄泉国で“母”が味わった羞恥と絶望。その場面を再現してしまったものだった。
──嫌われる。
神依が思ったのは、ただそれだけだった。
「……ご……ごめん、なさい……」
日嗣の耳に、布擦れ程もか細い神依の声が届く。神依は日嗣の言葉も待たず、頬に流れる髪をかき寄せ、更に禊の腕に隠れるように体を縮めた。しかし顔を背けたその背には何か強く打ったような痕もあって、どんな仕打ちを受けたのか日嗣自身にもその一端が垣間見れた。
(……分かっている。伍名がこれを暗に示したなら、神依が謝るようなことは何も無い……、だから……謝らなくていい。……しかし……)
どうしてやるのが一番いいのか、日嗣には分からなかった。

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