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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第14章 墨染めの恋
***
「ぁ……あぁ」
その中で真っ先に目が合った少女は、その途端あの兎のように身を強張らせて唇を震わせた。
「み……より……」
神依は禊と童に支えられ、かろうじて半身を起こしているようだった。真っ先に我に返った禊が慌てて手にしていた浴布で体をくるみそれを隠そうと抱き寄せるが、もうその時には充分過ぎるほど、少女の惨状は日嗣の瞳に映ってしまっていた。
神依が身に着けるのは、ただ腰や足にまとわりつくだけの帯と、ぼろぼろに裂かれ褥や畳に布片を散らす衣。血の気の失せた白い肌には赤い印が散らばり、その上には見慣れぬ簪で留められた髪が緩まり、はらはらと乱れていた。
禊が手にしていた浴布には白く粘ついたものの残滓も残っており、部屋中に散らばる道具の数々と合わせてもそこで何が行われていたかは明白で……最初に感じた何かを燃した臭いも、酒の臭いも、また何か違うものの臭いも、そのこもった空気の中に感じられた。
何よりその証としてある……打たれた頬の痛みを癒すかのように顔に添えられていた指の、その隙間から覗く……銀朱の印。
神依の頬には、まるでこれは自分のものだといわんばかりに、ある神の朱印が刻まれていた。
「ぁ……あぁ」
その中で真っ先に目が合った少女は、その途端あの兎のように身を強張らせて唇を震わせた。
「み……より……」
神依は禊と童に支えられ、かろうじて半身を起こしているようだった。真っ先に我に返った禊が慌てて手にしていた浴布で体をくるみそれを隠そうと抱き寄せるが、もうその時には充分過ぎるほど、少女の惨状は日嗣の瞳に映ってしまっていた。
神依が身に着けるのは、ただ腰や足にまとわりつくだけの帯と、ぼろぼろに裂かれ褥や畳に布片を散らす衣。血の気の失せた白い肌には赤い印が散らばり、その上には見慣れぬ簪で留められた髪が緩まり、はらはらと乱れていた。
禊が手にしていた浴布には白く粘ついたものの残滓も残っており、部屋中に散らばる道具の数々と合わせてもそこで何が行われていたかは明白で……最初に感じた何かを燃した臭いも、酒の臭いも、また何か違うものの臭いも、そのこもった空気の中に感じられた。
何よりその証としてある……打たれた頬の痛みを癒すかのように顔に添えられていた指の、その隙間から覗く……銀朱の印。
神依の頬には、まるでこれは自分のものだといわんばかりに、ある神の朱印が刻まれていた。

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