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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第14章 墨染めの恋
 ……しかしそれを纏い続けるなら、今までのように限られた世界、「二人だけ」の世界で幼い恋を楽しむばかりではならないのだ。
 上からも下からも、どちらからもその恋を責められてはならない。神と人、万人に祝福されなければ、あの二人の恋は満たされない。
 でなければ、またあの悲痛な過去を繰り返してしまう。或いは、悪意という穢れにまみれた花嫁が病み、更に昔の──原初の悲恋と罪を、再現させてしまうかもしれない。
 そしてそれをさせないためには、どうしても月日の神の力が必要だった。
 (……何かを得るときには、時折、耐え難い痛みが伴う。……特にあの子は……)
しかし、赤子かて母の胎(はら)を破り生まれてくる。けれどそれを喜ばない親などいないのだから、……伍名はまた、いっときの痛みに耐える覚悟と耐え得る力とを、幼い二人に持ってもらいたかった。
 「……」
曇った室内に、日光が射し込む。



【3】

 神依の家がある浮島近くの雲海が裂け、二人の神が姿を現したのはそのすぐ後だった。
 伍名の言う通りすぐに日嗣に呼び出された猿彦は、その強面(こわもて)の面に複雑な表情を隠しながらいつもと同じように日嗣をその場所に導く。
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