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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第14章 墨染めの恋
 ならば多少あの夢にも頷ける。あの従者は主と共に在ることを選び、だからこそあんなにも晴れやかな顔をして現れた。黒い靄に呑み込まれる神依も、他の男神に奪われる暗示だったのかもしれない、と。
 しかし……しかしそれでは、禊の言葉の説明がつかない。
 「……意味が分からぬ」
だから思ったことをそのまま呟けば、伍名は静かに頷き語り始めた。
「元々、神依の話を私に持ってきたのは猿彦でございます」
「彦……?」
「はい。あれも多少なりとも縁を視る神ですので。しかし……それでも今まで貴方様といずれかの巫女を結ぶことは叶わなかった。自身と妻神を結んだ貴方様がずっと一人、孤独にあらせられる姿は猿彦の目にはどのように映っていたことでしょう」
「……」
「そこへ、あの子が流れ着いた。こともあろうに貴方様が御自ら手をお伸ばしになり、なおかつ朱印を刻むという……何よりも避けてきた形で、慈悲をお与えになった子が」
「……」
「そして八衢での再会……その異質な縁に、猿彦は思ったそうです。此度こそは貴方を神として、人として、男として満たすことができるのではないかと。ですが猿彦自身、神依やその周りの者達と触れ合い……まず禊の存在が気掛かりだと、ずっと憂慮しておりました」
「……そうか」
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