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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第14章 墨染めの恋
「ですから私は縁を司る神として、敢えて今貴方様に奏上致します。……あの子は確かに“神依”だ。そして女であるが故に多くの男を引きつけ、その心や、欲や、興味を依せられている。そして貴方様は今、その女を想う男達の中で最も縁薄き者になっているという──その自覚はございますか」
「……それをたった今、最も薄めたのがお前であろうが……」
どこか遠くで聞こえてくるような伍名の言葉に、日嗣は自棄を含んだ笑みと声とで答える。
 それと同時に夢の中の青年の姿が思い浮かんで、その手首に結ばれた下手くそな紐飾りが思い浮かんで、代わりに自分には何も無いことを改めて思い知った。
 ところが──
「私は神依を抱いてはおりません。その操を傷付けてもおりません。ただ……その器に、朱印を刻んだだけです」
「……、……何……」
次に耳に届いた言葉に、まるで救いを求める子のような眼差しで、伍名に応えた。


【2】

 もはや日嗣には、伍名がここに訪れた理由を窺うことすらできなかった。
 神依の元に天降ったという、その話をしたのならば──その先のことまで考えて、神依を取り立てた自身のところに神依を娶る許しを得に訪れたのだと思ったのに。
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