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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第14章 墨染めの恋
 「……貴方はいつも、人を愛する覚悟が足りない。あの姉妹神の時も」
「……」
静かに紡がれたその言葉も、不思議と昔ほど日嗣の胸を痛めつけはしない。
 けれどそれがなぜだか改めて問い直すまでもなく、今の日嗣にはもう答が分かっていた。
 悠久の時を経てすらどうにもならず、膿み尽くして……もはや干からびた骨だけのようになっていたそれは、あの星空のもと神依が紡いでくれた言葉と、その後に過ごしてくれた時間とによって……少しずつ癒やされていたのだ。
 神依は共にその罪と罰を引き受けて、重荷と痛みを減らしてくれた。その上、男としても夫としても父としても出来なかったあらゆることをさせてくれた。
 幸せだった。二人でなければ分かち合えない身勝手な幸せだった。だからその傷はきっと……もうほとんど、癒えていたのだ。
 だから今は、その傍らに在るものを無くしてしまったことの方が何倍も辛く苦しい。先程の、赤子を抱いて隣同士座っていた光景が思い浮かぶ。しかし次の瞬間には赤子は破れた紙風船に姿を変え、隣には誰もいないまま、黒ずんだ床があるだけの様に変わってしまった。
 「……此度もまた、俺のせいだと言うのか」
問えば、伍名は静かに頷く。
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