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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第14章 墨染めの恋
神も巫女も関係無い。ただただ想う少女の純潔を散らされたその悲痛は、物を掴み、唸る気力さえ根こそぎ削ぎ落とした。
(……神依はそれを、一言も拒まなかったのか……? 巫女として、男神の来訪を断り切れないのは仕方がない。しかし、俺のことは想わなかったのか……俺の名を出し拒めば、或いはその一線は越えずに済んだかもしれない。……なのに──)
と、そこまで思って、日嗣は伍名から離れ崩れ落ちるように畳の上に座り直した。
(……もういい。何も考えたくない。考えるな。考えたら……俺は今度こそ、神依を傷付けてしまう)
既に思考が刃となって神依に向かっていたことを自覚すれば、むしろ伍名より自分の方に腹が立った。それは形容し難い怒りで、物があったら壁にぶつけて当たり散らしたいような幼い怒りではあったが、その物もなければ今はそれをするだけの気力も無い。ただ一度自分を戒めるように渾身の力で畳を殴れば、痺れるような痛みがようやく声を出す方法を思い出させてくれた。
「……去(い)ね。そして二度と、私の目の前にその姿を見せるな……」
「……」
そして日嗣は、呟くようにそれだけを命じる。しかし伍名は乱された衣を正すと、再び深く座り直し、語った。
(……神依はそれを、一言も拒まなかったのか……? 巫女として、男神の来訪を断り切れないのは仕方がない。しかし、俺のことは想わなかったのか……俺の名を出し拒めば、或いはその一線は越えずに済んだかもしれない。……なのに──)
と、そこまで思って、日嗣は伍名から離れ崩れ落ちるように畳の上に座り直した。
(……もういい。何も考えたくない。考えるな。考えたら……俺は今度こそ、神依を傷付けてしまう)
既に思考が刃となって神依に向かっていたことを自覚すれば、むしろ伍名より自分の方に腹が立った。それは形容し難い怒りで、物があったら壁にぶつけて当たり散らしたいような幼い怒りではあったが、その物もなければ今はそれをするだけの気力も無い。ただ一度自分を戒めるように渾身の力で畳を殴れば、痺れるような痛みがようやく声を出す方法を思い出させてくれた。
「……去(い)ね。そして二度と、私の目の前にその姿を見せるな……」
「……」
そして日嗣は、呟くようにそれだけを命じる。しかし伍名は乱された衣を正すと、再び深く座り直し、語った。

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