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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第14章 墨染めの恋
 けれど自らもそれを欲して受け取った。二人で大事に、それを守っていこうとしたのに。
 なのに──
 これではまるで、無法者に脇からぺしゃりと潰されて、神依ごと拐われてしまったかのようだった。柔くて軽くて儚いものだったけれど、自分達にはそれが必要だったのに。なのに、……。
 「ック……」
日嗣の怒りは神依を想えば想うほど、耐え難い痛みと悲しみに変わって自らの心と魂を痛めつける。
 「貴様……それは私が御霊祭にてあの娘を取り立て、後も通っていることを知っての上でか……」
「……無論、存じ上げております。ですが貴方様は、正式に妻問いをなされていない。……貴方様の幼き威は、一人の女性を囲うには余りに隙間だらけの籠(かご)でありました。並みの神ならばその見えぬ壁でもよろしかったでしょう。ですがあいにく、私を阻むものにはなり得なかった。……成程、今の今まで貴方様は彼女を慈しんで来られたかもしれない。けれども、抱かぬことと護ることは違います。そこは、貴方様の非ではございませんか」
「……ッ」
精一杯の矜持でもって問うも、逆に伍名は挑むような眼差しで日嗣に対してきた。
 それはあの夢でみたもう一人の男と同じように、もはや何の迷いもなく。
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