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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第14章 墨染めの恋
 けれど染まりきっていないからこそ、何か一本違う芯もあるような気がした。月の神は……それを照らしてくれるだろうか。
 個人的な思い入れを除いても、女性に手を上げるようなことはいただけない。そんなふうに気持ちの上では一刻も早く待ち人を送り込みたいとも思ったが、それでは意味が無いこともまた、伍名は知っていた。
 その時、背後で空気が揺らぐ音がする。
 伍名は姿勢をそのままに、後ろを振り向く仕草を見せたがすぐに高座に目を戻した。
「……来たのか」
「来ないわけにいかねーだろ。元はと言えば……俺のせいだからな。孫に殴られる役くれーはやってやるよ」
瞬きの間にこの場に姿を見せた猿彦は、長たる伍名に憚ることもなくどかりと隣に腰を下ろす。しかし、伍名は緩く頭を横に振って続けた。
 「御令孫がお出でになる前に消えなさい。殴られるなら……まあ、私だ。それよりも、お前の役目は御令孫の道先をお開きすることだろう」
「伍名……」
「今回のことは誰のせいだとか、そういう性質のものではない。だからいいんだ。それに……あの禊はちゃんとお前の慈悲にも気付いていた。きっと感謝しているよ」
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