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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第13章 月の剣
 「──神依様!」
「控えろ、禊」
それを見た禊が慌てて立ち上がり駆け寄ろうとするが、それは今はもはや正気に戻ったかのように生気を宿す神の言葉と、突き出した鞘に留められ、阻まれた。
 代わりに神は自らその傍らに跪くと刀を捨て、自身の衣が汚れるのも構わぬようにその袖で神依の口元を拭い、割れ物の骨董を扱うかのようにその身を抱く。そして褥に運ぶとそこに鎮座していた脇息を蹴り飛ばし、真の主としてその小さな体を中央にそっと下ろした。
 「月読……様……?」
神依はその神の豹変ぶりに驚き、自らの意思でようやくその神の姿を真っ正面に捉える。
 そうして視線を交わした神は、その名に相応しいような……漆黒の闇を照らす光のように穏やかな笑みを称え、まるで恋い慕う妹(いも)にするように神依の頬を優しく抱き身を被せた。そして、同じように柔らかな声で語る。
「……お前は、真の巫女であったのだな」
「……?」
「……日嗣が欲したあれは、確かにお前より数段美しい女神であった。だが……花の女神とは、笑わせる。名も容姿も、女とは恐ろしいな。そも、なぜ花と巌(いわお)の女神が姉妹になりえるのだ。……教えてやろう、あれは火の女神だ」
「え……」
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