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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第13章 月の剣
途端に表情を変えた禊に、月読は嫌味のようにその酷薄な笑みをこのわずかな時間で最も美しく、慈しみ深い笑みに変え、続ける。
「私の瞳は時に未来を見通す……伍名の神計りと、お前の腐った愛憎劇は暇潰し程度にはなったぞ。そして今日、これから再びその醜態を晒すがいい……。日嗣は天孫であるが故に高潔で清廉で、潔癖だ。……お前がその肉の膜を喰らいあの牝腹を膨らませば、二度とここには降るまい」
「……」
そして最後に憂さを晴らすように鼻で笑うと、再び踵を返した。
 ──瞬間、
「それ……は……、花の……女神、様の……。自分の……赤ちゃん、ではないと……」
「……!」
その背後から聞こえてきた、息か声か分からぬほどの細い呟きに……月読はここに至り、初めて、その表情を変えた。


【3】

 「……」
足を止めた月読は、ゆっくりと後ろを振り返る。
 打ち捨てた娘は生まれたての小さな獣のように震え、それでも腕に力をこめ、自らもう一度身を起こそうとしていた。
 (──……何故、この娘がそれを知っている?)
それを問うように従者を見遣れば、その顔もまた驚きと不安とに満ちた眼差しで娘を見ていた。これが話したようではなかった。もちろん、日嗣であるはずもない。
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