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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第13章 月の剣
「あ……貴方様がお降り下さったのは、伍名様の──」
「……日嗣は稲穂の神であるからな。あれが神として成熟すれば、豊葦原から高天原まで全ての次元がなお豊み、麗しき国になる。……伍名は国津神の長故にそれを願って、あれを最もその妻に相応しい血肉の娘に成そうとしたのであろうが……」
「……」
「あいにく私には、その手段を示さなかった。……つまり私は、その与えられた玩具を飾るも壊すも自由というわけだ。そしてその間……あそこに踞る塵は、私に自らの価値を何も示さなかった。……ようよう考えよ……何ゆえ天津神の三貴子たる私が、塵という穢れを高天原に持ち込む手助けを自らせねばならぬのだ。日嗣もいずれ、あれが塵だと気付くであろう」
月読はその塵すら慈しむ男を見下ろし、もう用は無いとばかりに衣を翻すと襖に手を掛ける。それから足を踏み出し掛け、思い出したように底意地の悪い笑みを浮かべるとその男に告げた。
「……私が許す。今の内に、“昨日の続き”でもすればいい……塵は塵同士、埃のように部屋の隅で絡みおれ」
「……ッ!!」
「……日嗣は稲穂の神であるからな。あれが神として成熟すれば、豊葦原から高天原まで全ての次元がなお豊み、麗しき国になる。……伍名は国津神の長故にそれを願って、あれを最もその妻に相応しい血肉の娘に成そうとしたのであろうが……」
「……」
「あいにく私には、その手段を示さなかった。……つまり私は、その与えられた玩具を飾るも壊すも自由というわけだ。そしてその間……あそこに踞る塵は、私に自らの価値を何も示さなかった。……ようよう考えよ……何ゆえ天津神の三貴子たる私が、塵という穢れを高天原に持ち込む手助けを自らせねばならぬのだ。日嗣もいずれ、あれが塵だと気付くであろう」
月読はその塵すら慈しむ男を見下ろし、もう用は無いとばかりに衣を翻すと襖に手を掛ける。それから足を踏み出し掛け、思い出したように底意地の悪い笑みを浮かべるとその男に告げた。
「……私が許す。今の内に、“昨日の続き”でもすればいい……塵は塵同士、埃のように部屋の隅で絡みおれ」
「……ッ!!」

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