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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第13章 月の剣
 ただ主が声を上げるごとに無慈悲な神の表情が不機嫌そうに険しくなっていって、きっとその幼い慟哭はほんの数分の間だけだっただろうが、それがすすり泣きに変わる頃には……神の主を見る目は、まるで汚物を見るかのような嫌悪の眼差しに変わっていた。
 「……獣にすらなれぬ塵(ごみ)が……耳障りに喚き立てるな」
やがて月読は低く唸るようにそう呟き、自ら切り裂いた衣を──神依の胸ぐらを鷲掴み、苛立ったように立ち上がる。
 そしてそのまま香炉の方に神依を投げ捨てると、自身は衣を正し刀を拾い上げた。
 「うっ……く、ひっく……」
小さな炉の中で燃やす空気を失い、灰となっていた香が空中を舞う。神依はその中でもう起き上がることもできず、ただか細く、子供のように嗚咽を続けていた。
 月読はそれを一瞥すると、続ける。
「……遊びは終わりだ。お前にはもはや、私が取り立てる価値など何もない……伍名には、お前達国津神の企ては破れたと伝えおいてやろう。次は日嗣にこうして打ち捨てられるまで、せいぜい稚戯を楽しむがいい」
「お──お待ち下さい……!!」
その月読の言葉に、慌てて禊が立ち上がりその足元にすがりつく。
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