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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第13章 月の剣
 その小さな刃は、神依が巫女であることを否定するようにその衣を少しずつ少しずつ喰らっていく。
 しゃき……、しゃき……と。
 「……」
一寸にも満たない切り口が何度も何度も重なり、その音が繰り返される度に神依は自分の中の何かも裁ち切られていく気がした。
 襷が、切り落とされる。
 ……考えてみたら、自分を巫女として正当に扱ってくれた男は日嗣しかいなかった気がする。だがその日嗣との縁が切れかけた今、その装束など何の意味もない。
 虫が葉を食い荒らすように芯を残して裂かれた衣は、被虐的な視覚刺激を神依にもたらし、絶望的な、しかし甘やかな息を吐き出させる。
 さらしもぼろぼろに裂かれ、けれどその隙間から覗く乳首はツンと上擦って神の気紛れな暴虐を待っていた。
 「……つくよみ……様……」
「……」
初めて娘の口から呼ばれた名に、月読は残虐な笑みを浮かべた。うっすらと撫子の色を滲ませる肌と、帯の下の、もぞもぞと蠢く未だ一太刀も入れていない衣。一時の逃避から心を色欲に浸したか、崩れかけた理性を弄ぶように月読は嗤う。
 「……しゃぶれ」
「……」
返事は無い。代わりにこくりと小さく頷かれ、それはそれで、月読には心地好かった。
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