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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第13章 月の剣
“……お前は私の足を舐めしゃぶった唇と舌で、日嗣と口吸いを交わす気か”
その、月読自身が語った言葉を思い出して、もうそれ以上の堕落を自らに科したくはなかった。日嗣の前に姿を晒せなくなるようなことはしたくなかった。
 しかし、月読は既に神依の言動に禊や童、小さな神々達の命を懸けている。今ここで逆らえば、どうなるかしれない。
 そして今も、神の手に弄ばれる大切な櫛。
 (……仕方ない……、仕方ないことなの……)
それをすれば、皆の命を護れてきっと櫛も返してもらえる。全部終わった後、また日嗣が訪ねてきても、このことを知っても、きっと皆が庇ってくれる。そうしたらきっと、分かってくれる。許してくれる。あの星空の下、心を交わした時のように……胸に抱いて、慰めてくれる。いたわってくれる。こんな気持ちの悪い臭いではなく、あのいい香りのする衣でこの身を包んでくれる。
 (大丈夫……大丈夫、だから。……日嗣様は……きっと……)
言い聞かせるように何度も何度もそれを思い、しかしそれをすればするほど心の奥底でその真偽を問う声がする。
 どうしていいか分からずおそるおそる神を窺えば、その眼差しは冷たく、しかし熱を帯びたような紅の唇はニイッと上がった。
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