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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第13章 月の剣
結い留められなかった前髪がぎちぎちと引かれ、そのまま月読の下腹部に顔を押し付けられる。体ごと無理に引きずられ、頭皮が焼けるように痛んだ。男の手を押し退けようと必死で両手を伸ばすが、それは男の衣を掻きむしるだけで何の意味もなさない。
 月読はただ許しを乞うばかりになった神依を離すと、千切れて手に絡みついた髪を払い禊に酒を求めた。禊もまた苦々しく頷き、細い泣き声を背に一度部屋を後にする。その声に、神と同じように働いた狼藉を悔やみ、自責し、ただひたすら心の中で稲穂の神に救いを求める。
 足音が遠ざかると、月読は自ら痛め付けた頭を優しくさすり、わざとらしい撫で声で続けた。
「……何をそんなに泣いておる。私はこれでも、お前に慈悲をかけてやっているのだぞ……この程度で喚いておっては、先が思いやられる」
「ふ……ぅ、っく、そんな……、なん……なんで、こんな……っ」
「口答えする暇があるのか……それよりもどう媚びれば私が昂り満たされるか、知恵を巡らす方が先であろう。……いや、お前は犬であったな……餌をくれてやらねば、それもままならぬか」
月読は蔑みの言葉とともに、ようやく顔を上げた神依の前にある物をぶら下げる。
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