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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第13章 月の剣
 それで大切な家族が害されないなら、道は他に無かった。それで大切な人達が護れるなら自分の矜持などどうでもいいはずだったのに、しかし何故か涙が滲んできてぽろぽろと零れた。
 恥ずかしくて恥ずかしくて、惨めったらしくて。まだ堕ちない理性が耐えきれない程の羞恥と嫌悪を生み出して、それでも神依には続けるしかなかった。神に神依を選べても、神依は神を選べない。それをようやく、理解していた。
 「……犬畜生にも劣る、下賤の巫女よ……。お前は私の足を舐めしゃぶった唇と舌で、日嗣と口吸いを交わす気か……。ああ……想像しただけでも笑いが止まらぬわ」
「っやめて……、日嗣様は……、ふ……うっ……ぅぅぅ」
「あれもまだ青臭い餓鬼よ……女など、抱かぬ方が楽しみ方は多いというに」
 月読は小さく肩を震わせながら踞ってしまった少女を嗜虐性を含んだ瞳で見下ろし、ようやく脇息から体を起こすと側の煙草盆を寄せた。
 それからその振る舞いからは想像し難いほど丁寧に串で吸い殻を落とすと煙管を置き、代わりに自らの髪を結うていた一本の簪を抜き取る。
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