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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第13章 月の剣
「……っ、ま……待って……」
その神の言葉と共に、背後に無造作に置かれた刀を見つけた神依は、慌てて座り直し畳に額を擦り付ける。
「ご、……ごめんなさい……ごめんなさい……!」
「……己の立場を理解したなら、私の足を舐めてみせよ。その小生意気な唇で、私の爪先に接吻せよ」
「……は、……はい」
そのまま頷くことしか、もはや神依には選びようがなかった。まったく目的の見えない来訪と想い人の色でなされる暴力に訳も分からず、しかしその加虐性と無慈悲さを理解した神依には逆らうこともできなかった。
 せめてもの抵抗に奥歯を噛み、眉を寄せ……神依は禊や童を一瞬想い、それからゆっくり、ゆっくりとその爪先に唇を捧げる。
 「っ、……ぅ……うぅっ……」
捧げて、更に神の言葉通りおずおずと舌を出せば、神は初めて声を上げて笑った。
 心が感覚を閉ざしてしまったのか、味など分からなかった。それでも神依は、おそらく神が望む最低の姿で必死に舌を這わせた。床を踏んでいた足の裏を舐め上げ、指先に接吻して。
 神の言葉のままに口に含んではしゃぶり、生理的に呑み込めない唾液にぴちゃぴちゃとだらしない音と水糸を伸ばしては指の間に舌を差し込んだ。
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