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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第13章 月の剣
 そして気だるそうに脇息に寄り掛かり煙管(きせる)をふかしている一柱の神の姿は、まるでそこが退廃的な廓(くるわ)の一角であるかのような雰囲気を醸し出しており──そんな女性にも男性にも見える、故にこそ最上級の美しさを備えた神が、あの日嗣の血族でもある月読命だった。
 「……何をしている。疾(と)くお前の主を、私の前に差し出せ……」
「……ッ」
ややあって、月読は息長く紫煙を吐くと何の興味も示さぬように言葉を紡いだ。しかし目的も判らぬ突然の来訪──暴挙に、禊が背に隠す主をなお庇おうかと後退れば、更に面倒そうに先を続ける。
「……私は気が短い。以後、お前が躊躇うか拒否するかの度に、そこに在る子供と獣を一匹ずつ斬る。……巫女をここへ」
「ま──待って下さい!!」
「神依様……!!」
その言葉に、慌てて禊の脇をすり抜ける神依。そして相手の姿も子供らの姿も認めぬ内に、その場に膝を折り叩頭した。
「わ……私がこの家の主の、神依です。あなたも神であるというなら……巫女である私が何なりとご用件を伺います。だから、だからどうか、……童達は……っ」
言いながらも、その度に喉を通る空気にむせそうになる。極度に甘いものに喉が焼け付くような、かあっと熱くなる刺激。
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