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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第13章 月の剣
半分ほど、ぼろぼろと地に落ちた屋根と壁と、残された軒からだらりとぶら下がる細い注連縄。
 進貢の前に供えたはずの酒や米も、その白磁の器ごと転がり落ちている。
 しかし、それよりも──
「そ……鼠軼様……、鼠英様は……? み、禊……」
「そんな……まさか……」
禊でさえ、その主の問いに答える術など持たなかった。まさか淡島で、神宿るものにあんな狼藉を働く者がいるはずもない。
 「──っ」
しかしそれに狼狽したのは数秒で、禊は自身の手巾を取り出すと神依の鼻と口を隠すように押し付け、神依がそれをあたふたと受け取ると早口で要件だけを伝えた。
 「神依様、貴女はあまりこの空気を吸わないように。そしてこのまま、すぐに奥社へ向かって下さい。洞主様──いえ、今の時間は大兄が残っているはずですので、行って保護を求めて下さい」
「えっ? ま、待って!」
禊は神依を遠ざけるように、肩を掴み軽く門の方へ押し遣る。しかし神依はこの異変にまだ理解が追い付かず、一人になるのも心細くすがるように禊の衣を掴んだ。
「禊、あなたは? 行くなら一緒に」
「一ノ弟を放っておく訳には参りません」
「な、なら私も──!」
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