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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第13章 月の剣
「跳び石が渡れなくても、立派な神様にはなれるということですね!」
「左様。更に申すならば、神依──お主は巫女じゃ。巫女が心からそう信ずるならば、無論なれる。なれるとも」
 その最後だけは幼い兎神を慈しむような声音で、鼠軼はひくひくと動く鼻先を小さな手で力強く撫でる。
 それに兎神はじわっと涙を浮かべると、こぼれる前に顔を振り……おそるおそるではあったが、神依の足元に擦り寄ってくれた。
 そうして神依は禊に神酒と米、それから人参をねだり、また新たな神を迎え入れた。まだ幼い、兎の男神。
 ──その小さな神が、何故大嫌いな跳び石の近くまで来ているのか……神依は駆け足で石を渡り、それを追う禊もまた、その光景に違和感を抱いていた。空を見遣れば、この時間は童に任せてあるはずの炊事の煙が上がっていない。
 神依達が小路の方まで来ると、兎神は数歩ぶん後退りまるで行く先を防ぐように道の真ん中で再びじっと固まってしまう。
「兎神様……?」
それで神依は、何か伝えたいことがあるのかも、としゃがんで手を差し出すが、兎神はまた更に後退りして、同じように道の真ん中で丸まる。
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