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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第13章 月の剣
 そうして話しながら家のある小島の方に向かっていくと、跳び石を挟んだ先、竹林の小路(こみち)に小さな桃色の毛玉が固まっているのが遠目に見えた。
「──あれ?」
すぐにそれは、伍名が置いていった幼い兎神だと分かる。伍名が言った通り、兎神は跳び石が渡れないらしく道淵でぷるぷると震えている。
 (どうしたんだろう)
進貢に向かう前、屋敷神の祠にお供えをした時にも鼠軼が言っていたが……その小さな兎神は、跳び石が渡れないことが原因で、同じ年ほどの仲間達から酷く苛められていたらしい。
 しかしそれに対し、神依は眉を下げて訴えた。
「でも──鼠軼様。私でさえ初めて淡島に来た時は、あの石の道が怖かったんです。ましてや、こんなに小さな兎神様では……怖がるのは当たり前です。それで苛められてしまうなんて」
「んむ。しかしそれはおそらく、これが因幡兎(イナバウサギ)であるが故じゃ。ほれ、毛が桃色じゃろう。因幡兎は皆この色をしておる」
「はい、私には……すごく可愛く見えるのですが」
 まだ慣れないのか、こちらを窺いながらも祠の前で丸く固まっている兎神に、神依は鼠軼を手に乗せ怖がらせないようしゃがむ。
 兎神は一瞬ビクッとしたが、夜のように逃げはしなかった。
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