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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第12章 天津水
ふっとその表情を意地の悪い笑みに変えた青年に、日嗣もまた苦々しく唇の端を上げる。
「お前は……本当にそれで、いいんだな」
「はい」
「…………すまない」
「謝ることはありません。……貴方がたは本当に……一体何に対して謝っていらっしゃるのですか」
「……」
青年は何かを思い出したように、苦笑してみせた。
……これは、自身の罪悪感が見せた気休めの夢だろうか。それとも現(うつつ)に繋がるような……何か意味のあるものなのだろうか。
「……ありがとう」
ただ謝るなと言うから代わりの言葉を繋げれば、青年は満足そうに頷いた。そしてそれは、日嗣にはとても──心地好い。そこにはもう、何の隔たりも無いような気がした。
そしてそれは青年も同じだったようで、また夕餉でも食べにいらして下さい、と何事も無かったかのように一礼し、日嗣に稲穂を差し出すと、今度こそ家の方へと戻っていく。
肩に乗っていた子龍もいつの間にかその青年の腕に戻っていて、日嗣はその背にゆっくりと頭を垂れた。
何かを捧げられなければ、神は存在できないのだから。それを差し出してくれた優しい男に、日嗣はただ一柱の神として、ただ一人の人として頭を下げた。
そして再び顔を上げた瞬間──
「お前は……本当にそれで、いいんだな」
「はい」
「…………すまない」
「謝ることはありません。……貴方がたは本当に……一体何に対して謝っていらっしゃるのですか」
「……」
青年は何かを思い出したように、苦笑してみせた。
……これは、自身の罪悪感が見せた気休めの夢だろうか。それとも現(うつつ)に繋がるような……何か意味のあるものなのだろうか。
「……ありがとう」
ただ謝るなと言うから代わりの言葉を繋げれば、青年は満足そうに頷いた。そしてそれは、日嗣にはとても──心地好い。そこにはもう、何の隔たりも無いような気がした。
そしてそれは青年も同じだったようで、また夕餉でも食べにいらして下さい、と何事も無かったかのように一礼し、日嗣に稲穂を差し出すと、今度こそ家の方へと戻っていく。
肩に乗っていた子龍もいつの間にかその青年の腕に戻っていて、日嗣はその背にゆっくりと頭を垂れた。
何かを捧げられなければ、神は存在できないのだから。それを差し出してくれた優しい男に、日嗣はただ一柱の神として、ただ一人の人として頭を下げた。
そして再び顔を上げた瞬間──

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