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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第12章 天津水
この禊もまた、まだ名を持たなかった少女の特異な漂着を目の当たりにしている。日嗣自身の衣にくるまった少女を見ている。
その後、少女はまた海で……猿彦のまじないが掛かった、あり得ない場所で神々と再会した。その不可思議な縁も、きっと理解しているのだろう。
それに何より……この青年は、日嗣が秘めた朱印の存在を知っているのだから。
ならば、おそらく──
「或いはそれは……俺のためか。お前は俺の過去をも知っている。俺が淡島の巫女に……女としての巫女に関わらないことも知っている。だからわざと──」
「……それは私が申し上げることではありません。……ですが、もしも本当に……貴方様が我が主に神たる慈悲を降して下さると仰るのなら」
「……」
「……どうか、御自らお声を掛けて差し上げて下さい。神依、とその名を口にし、その字を世に顕して差し上げて下さい。
そして出来うる限りのお優しい声で、今日までの苦労をねぎらい、讃え、その沈んだ心を癒し、慈しむように笑んで差し上げて下さい。……貴方は決して、鋭き葉の神ではない。この国元すべての命を満たす、とても温かくて、甘くて、柔らかな……稲穂の神であらせられるのですから」
「……」
その後、少女はまた海で……猿彦のまじないが掛かった、あり得ない場所で神々と再会した。その不可思議な縁も、きっと理解しているのだろう。
それに何より……この青年は、日嗣が秘めた朱印の存在を知っているのだから。
ならば、おそらく──
「或いはそれは……俺のためか。お前は俺の過去をも知っている。俺が淡島の巫女に……女としての巫女に関わらないことも知っている。だからわざと──」
「……それは私が申し上げることではありません。……ですが、もしも本当に……貴方様が我が主に神たる慈悲を降して下さると仰るのなら」
「……」
「……どうか、御自らお声を掛けて差し上げて下さい。神依、とその名を口にし、その字を世に顕して差し上げて下さい。
そして出来うる限りのお優しい声で、今日までの苦労をねぎらい、讃え、その沈んだ心を癒し、慈しむように笑んで差し上げて下さい。……貴方は決して、鋭き葉の神ではない。この国元すべての命を満たす、とても温かくて、甘くて、柔らかな……稲穂の神であらせられるのですから」
「……」

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